スピリチュアリストの英国最大の統一組織 SNU (Spiritualists National Union) では、七大綱領を通じた近代スピリチュアリズムの哲学を啓蒙するという目的のもと活動を行っています。そして、この哲学に基づいた生き方を選び、理解・実践している人のことをスピリチュアリストと呼びます。
この七大綱領は、心霊誌 Two Worlds を創刊したビクトリア時代の女性霊媒エマ・ハーディング・ブリテンを通じて、霊界から霊言で届けられたものとされています。
→エマ氏についての詳しい記事はこちら
スピリチュアリズム七大綱領
- 神は全ての父である
- 人類は同胞である
- 霊的世界と地上界との間には霊的交わりがあり、人類は天使の支配を受ける
- 人間の魂は死後も存続する
- 我々には自由意志とそれに伴う責任がある
- 善悪にかかわらず全ての行いには相応の報いが生じる
- いかなる魂も永遠に進化の道が開かれている
七大綱領の第五綱領には次のように示されています。
「我々には自由意志とそれに伴う責任がある」
この言葉は非常に重要な意味を持っています。
なぜなら、この綱領は私たちの人生のすべてに関係している霊的法則を示しているからです。
私たちは日々、様々な選択をしています。
朝起きる時間、家族への言葉、仕事への向き合い方、人との関わり方など、すべての行動は自分の意思によって選択されています。
スピリチュアリストの観点では、この自由意志は偶然与えられたものではなく、魂の成長のために神から与えられた大切な機会であると考えます。
しかし、自由意志には必ず責任が伴います。
自分の選択には原因があり、その結果が生まれるという「原因と結果の法則」が働いているからです。これはいわゆる因果律、または因果応報とも呼ばれています。
つまり私たちの人生に起きる出来事の多くは、偶然ではなく、過去の選択や行動の結果として現れているということです。
この考え方は厳しく感じるかもしれませんが、同時に希望でもあります。
なぜなら、未来は自分の選択によって変えることができるという意味でもあるからです。
自由意志とは、責任を伴うと同時に、成長の機会でもあるのです。
これらを前提に、そしてスピリチュアリストの視点から 第五綱領:我々には自由意志とそれに伴う責任がある をどのようにとらえるか考えていきたいと思います。
「自由意志と責任」という霊的法則
スピリチュアリズムの教えの核心の一つに、自己責任の概念があります。
これは、自分がこしらえた原因は自分が結果として受け取る、原因と結果の法則という因果律です。
この法則は特別なものではなく、私たちの日常の中でも自然に働いています。
例えば、思いやりのある行動をすると、人との関係は穏やかになります。
反対に、怒りや不満をぶつけると、人間関係はぎくしゃくします。
これは私たちの行動が生み出した自然な結果によるものです。
しかし時に、この因果律を回避できるかのように語られることがあります。
- 特別な祈りで問題が消える
- 誰かが代わりにカルマを背負ってくれる
- 儀式を行えばすべて解決する
このような考え方は、スピリチュアリズムの教えとは異なります。
スピリチュアリストの観点では、どのような宗教的教義や儀式であっても、人を一瞬で成長させることはできないと考えます。
罪人を聖人に変えることはできません。
変化は外側の力ではなく、本人の意識の変化の結果おこるものだからです。
なぜなら、自分の行為が生み出した結果は、自分自身が向き合い刈り取ることが基本原則であり、これが内部の神性をより大きく発揮させるためのチャンスとなります。
原因と結果の法則は、罰ではなく成長のための仕組みなのです。
「自己責任」の誤解
「自己責任」という言葉は、時に厳しく冷たい印象を与えることがあります。
- すべて自分のせい
- 助けを求めてはいけない
- 失敗したら責められる
というような、厳しく突き放された考え方として受け取られることも少なくありません。
しかし本来の自己責任とは、そのような意味ではありません。
しかしここでいう自己責任とは、責める意味ではなく、成長の機会を意味しています。
スピリチュアリズムにおける自己責任とは、自分の思い・言葉・行動が未来を形づくるという、原因と結果の法則に基づいた考え方です。
私たちは何かを決意し、自己責任の意識を持つときにはじめて自分を奮い立たせます。
それは成長につながるチャンスであり、自己を見つめ改善するきっかけになります。
もし、誰かが自分の問題をすべて解決してくれるとしたら?
それは、自らの経験と機会を失うこととなり、学びのチャンスを逃してしまいます。
つまり、自由意志と責任は、私たちの内なる神性を発揮するための重要な仕組みなのです。
シルバーバーチはある日の交霊会で〝偶然〟の要素について質問されて以下のように答えています。
「世の中が偶然によって動かされることはありません。どちらを向いても───天体望遠鏡で広大な星雲の世界を覗いても、顕微鏡で極小の生物を検査しても、そこには必ず不変不滅の自然法則が存在します。あなたも偶然に生れてきたのではありません。
原因と結果の法則が途切れることなく繰り返されている整然とした宇宙には、偶然の入る余地はありません。全生命を創造した力はその支配のために規制ないし法則を用意したのです。その背景としての叡知においても機構においても完璧です。その法則は霊的なものです。
すべての生命は霊だからです。生命が維持されるのはその本質が物質でなく霊だからです。霊は生命であり生命は霊です。生命が意識を持った形態をとる時、そこには個としての霊が存在します。そこが下等動物と異なるところです。人間は個別化された霊、つまり大霊の一部なのです。」
時代による変化と成長の機会
現代社会では、この自己責任の考え方とは反対の傾向も見られます。
その一つが、さまざまな「代行業」の増加です。
退職代行、謝罪代行、連絡代行、さらには人間関係のリセットを代行するサービスまで存在しています。
こうしたサービスは、利用する人にとって大きな助けになる場合もあります。
精神的に追い詰められているとき、直接向き合うことが難しい状況もあるからです。
一方で、すべてを代行に委ねることが習慣になると、本来経験するべき学びの機会を失ってしまう可能性もあるのではないでしょうか。
人間関係の難しさや、気持ちを伝える勇気、失敗からの学びは、魂の成長にとって大切な経験でもあるからです。
例えば、勇気を出して自分の思いを伝えた経験は、次の人間関係に生かされます。
また、誤解が生じたときに話し合いをする経験は、相手を理解する力を育てます。
こうした小さな経験の積み重ねが、私たちの人格や魂の成長につながっていきます。
自己責任とは、すべてを一人で抱え込むことではありません。
助けを求めることもまた、自分の選択の一つであり、助けられるという経験から成長の機会を得ます。
しかし、すべてを他人に任せるのではなく、自分にできることを少しずつ行うことが大切です。
現代の代行業の増加は、社会の変化の一つでもありますが、同時に私たちが成長の機会をどのように捉えるかを問いかけているともいえます。
転んでもまた立ち上がる経験、困難に向き合う経験は、決して一つも無駄ではありません。
自由意志は成長の機会
自由意志は、私たちに与えられた成長の機会です。
過去の選択を変えることはできませんが、今の選択は変えることができます。
・思いやりを持つ
・感謝の気持ちを持つ
・冷静に判断する
このような選択が、新しい結果を生みます。
自由意志とは、自分の人生をより良くする力でもあるのです。
責任とは重荷ではなく、成長のチャンスです。
シルバーバーチの言葉より
シルバーバーチはこう語っています。

人は自分の蒔いた種を刈り取ります
この言葉は、原因と結果の法則を示しています。
しかし同時に、未来は変えられるという希望でもあります。
自由意志は神から与えられた贈り物です。
その選択が、魂の成長につながります。
自由意志と責任を理解することが、七大綱領第五綱領の示す霊的成長の道なのです。
おまけ(七大綱領とそれぞれの意味)
以下のリンクより七大綱領のそれぞれの記事がご覧いただけます。


コメント